piano

 


「ねぇ、なんか弾いて」

「んー?」

夜に時間ができて、悠里は光輝の部屋へ遊びに来ていた。
広くてきれいで、年齢に不釣合いなマンションに光輝は住んでいて。そこには、ピアノが所有する部屋がある。
ここで光輝は、曲を書いたり気晴らししたり、こもったりもする。

ソファでごろごろとくつろいでいた悠里は、キッチンからワインボトルとグラスを持ってきた光輝に、ピアノの音ををねだる。

「いいよ」

「ほんと!?やった!」

にっと笑って承諾した光輝を見て、悠里は嬉々としてピアノの部屋へ向か・・・おうとした。

「・・・っ!」

「悠里からキス、くれたらな」

ソファから立ち上がる前に優しく押し付けられて、悠里は目の前の甘い笑顔に悔しくなる。だって、愛しいと感じるから。

「ほら」

なお近づく距離に、見つめる瞳には赤くなった自分の顔があって。それを見ているのも恥ずかしくて、悠里はぎゅっと目を瞑った後、そっとくちびるを寄せた。

触れた、と思って離そうとするけれど、光輝にタイミングよく頭を抱かれてそれはかなわない。
何度も重ねられる熱に、悠里も次第に気持ちよくなっていって、ふたりはただただ柔らかい温度を求め合う。



「はぁ・・・っ。・・・う、嘘ついたなぁっ!?」

「というよりは気が変わった、かな?」

「ちょ、ちょと待って、あたしピアノ聴きたいって」

「待ったなーし」

「絶対謀ったでしょーーーっ!」

 

 

Take You Away(ささげもの)