学生的余暇の過ごし方。

 


ほたるは夕吾のベッドで寝転がりながら旅行雑誌を、夕吾はいす上でかの有名な「地球の歩き方」を、ぱらぱらとめくる。

「俺はあったかいとこならどこでもいい」

「そしたら、スペインとかギリシャとか?トルコもあったかそう」

「ほたるはどこがいいの」

んっとねー、と楽しそうにページを繰るほたるは、優しい目をして見ている夕吾には気づかない。

イースター休みはひと月ほどある。その間本国の学生は帰省するし、彼らはもちろん留学生も旅行に行ったりする、貴重なリフレッシュメントの期間だ。
ほたるの寮の仲良い友達も、同じクラスで仲の良い友達も帰省中または旅行中。当然、キャンパスに留まるのは退屈になる。

「じゃあさ、スペインにしようよ!あったかいだろうし海あるし、近いし。本場パエリヤ!本場サングリア!おいしそーう♪」

「食べ物ばっかだなー。ま、ショッピングばっか付き合わされるより何倍もマシだけどな」

「アルハンブラ宮殿、アランフェスの王宮、この修道院にも行ってみたいし、あとローカルの食堂とパブは絶対試さないとね」

「ほたるのが計画は向いてそうだな」

「地球の歩き方」をベッドの方へ放って、夕吾はネットでスペイン行きの格安航空券を探し始めた。
その後姿を頼もしく感じて、ほたるはこっそりと見つめる。夕吾の広い背中がほたるは好きだ。

目の前の背中に甘えたくなって、ほたるは夕吾にくっついた。 背中を向けられると、甘えたくなっていつも抱きつきたくなる。
そしてそのたびに夕吾は笑って、こうして優しいキスをくれる。
どこにいたって、きっとそれは変わらない。

「スペインって情熱の国って言われてるんだっけ。スペインの留学生の子達ってじゃあ、結構情熱的なのかなぁ」

「スパニッシュのキスシーン見たことあるけど、すごかったぞ」

「えぇ!?」

「うそー。イギリス人とかと変わんねぇよ、多分」

「な、なんだ、びっくりした・・・って、え、どうしたの?」

何かを言う間もなく、ほたるのくちびるは奪われていて。味わうように想いをこめるように、夕吾はじっくり熱いキスをしてくる。
日常的によくキスを交わしていても、未だに不慣れでいつも反応に困るのだけれど。

えぇ!?とほたるが思ったのは一瞬。キスはいつまでも情熱的に続けられて、何かを考えていられる余裕はすぐになくなってしまったから。