長期

 


「わぁ、そろそろ完全に緑青色だね!」

「あぁ、うん」

ほぼ毎日一緒に遊んだりしているのに、ナーシェは開口一番ハルのウロコを見てそう言った。
いつも見ているはずだが、もともと青の強かったそれが次第に緑色も含んでいくのを、ナーシェは嬉しそうに見るのだ。
ナーシェだけでなくキーリエまでも、羨望のまなざしをその緑青に向けていて。

「いいなその色、すごく綺麗」

「本当ね」

ハルは自分の成長過程をまじまじと見られることに恥ずかしさを覚えながら、そんなふたりの尾に目をやる。
女体の人魚は成長が早いため、ナーシェとキーリエはハルより3つ年下だがとうにウロコの変色は終っている。
ナーシェは薄く色づく碧色。
キーリエは王家の血統柄、ナーシェの髪の色のような綺麗な薄紅色をしている。
女の子らしい色で、ふたりにそれぞれよく似合っている。
こうしてやっと、ハルも変色を経てふたりに追いつこうしていた。そしてすぐに追い越してしまうのだろう。

「ふたりののが綺麗だと思うけどな」

「「ほんとう?」」

「本当」

ほんとう?と年齢相応のきらきらした表情で、ナーシェとキーリエは聞き返してきて。
その様子にくすりと微笑んで、ハルが諭すような優しい口調でそう言うと、途端ふたりはとても嬉しそうに笑って。
その笑顔がまた、見る者の心を幸せにするのだ。

 

この世界と、この愛らしい幼馴染みたちがあって。
なんて穏やかで安らいだ日々なんだろう。

こんな日々がずっと続けばいい。
そう願いたくなるような、夏の光がゆったりと差す、海の底の昼下がり。