battery's off...!?

 


いたずらってわけじゃないけどついオトメゴコロからやっちゃったことがある。あたしの携帯はもちろん、紀由のものまで密かに電源切っちゃって、紀由んとこでくつろぐの。
それは紀由の「仕事」の呼び出しを告げる電話への、ささやかな反抗だったわけだけど・・・違うとこへ被害が・・・。

 

ラブな雰囲気になって、丁度あたし達がそっと顔を寄せた時。
どんどんどんってドアを叩く音と、知ってる声が聞こえてきた。

「おーい!紀由、いないのかよ?居留守だろ?携帯まで切りやがって・・・むしょーに邪魔したくなって来てやったぞ!」

「ほんとに居留守なのかな?」

「絶対そーだよ!ちえりちゃんまで繋がらないっていうし」

紀由の友達の佐倉さんだけだと思ってたら、なんとあたしの友達の美也まで一緒じゃない!なになに?なんなの!?
それでもあたしはあちゃーと思った・・・。
紀由と連絡取れなくておかしいなと思ったんだろね・・・佐倉さん、気にして来てくれたんだよきっと。美也はどういういきさつかわかんないけど・・・あたしと連絡取ろうとしてたのかも。

紀由は、ん?て顔をしてテーブルの上に放ってあった携帯をのぞく。

「ちえり、もしかしておれの携帯電源切った?」

「・・・うん。・・・ごめん」

当然あたしが悪い。勝手に切っちゃったんだもん。怒られるのだって至極当然で・・・あたしの気持ちを汲んでもらえたらなんて思うのは、きっと絶対違う。
紀由の友達だけじゃない、紀由が「仕事」に出られなくなることで困る人達は絶対にいるわけで・・・わかってたのに、ごめんなさい。自覚してた以上にわがままなんだなぁって思った。

すぐ近くで、紀由がふぅと息をつくのがわかった。あたしは恐る恐る顔を上げる・・・わかってるから、叱ってほしかった。
でも見上げた先にあったのは、怒った顔でもむすっとした顔でもなくて、しょうがないなぁというような笑顔。
あたしはびっくりした・・・。なんで?

「でかい声出すなよ?このままほんとに居留守してやろう」

「え・・・でも紀由・・・あたし、」

「たまにはいーんじゃない?電池切れてたって言っとくし」

「だっ、だめ!ちゃんと怒ってよ!あたしが悪いんだから!」

「ちえりの気持ちもわかるからな。おれがいつも悪いわけだし・・・今回は怒らねーよ」

何それ・・・紀由は絶対、あたしに甘すぎるよ・・・。そうは思ったものの、嬉しくないはずもなくて。そんなのいけないよね。
反省してるけど、ここで嬉しくなっちゃっていいのかな。なんだかいけないような気がして、あたしはちょっとうつむいた。
ぽんぽんと、紀由があたしの頭を撫でる。
佐倉さんと美也は諦めたようで、声はとっくに遠ざかっていた。

 

あたしって本当に子供だなぁって思っちゃう出来事だった・・・。
今でもそれは、否定できないけど・・・。