択余地

 


加宮さんが大学生だってのは知ってた。一応、知識として。
でもいざ自分が大学生になって対等なレベルへと上がってしまうと、なんだか変な感じがする。
このキャンパスのどこかに加宮さんはいて、勉強していて、友達と会っていて。そしてその行動範囲の中に、今ではあたし自身が含まれているってこと。それがとても不思議な感じ。

あ、来た来た。
待ち合わせ場所の食堂前で待ってると、彼の姿が見えた。

「お疲れさまー。今日は何限まであるの?」

「待たせたな。俺は2、3限目なしで4限まで。おまえは?」

「あたしは今日はもう何もないよ」

今日はお互い1限の後は空いてるってことで、一緒にお昼。
学校が一緒っていいなって思うのはこういう時。同じ時間を共有できるのってほんとに大切だよね。
でも考えたら、あたしは結構一緒にいられてる方かな?
なんせバイト先まで一緒なんですから。

「もう何もないのか・・・俺もサボるかなー」

「えっ!?いーの!?いくないいくない、出ろ!」

「だってよ、今日俺らふたりともバイトない日だぜ?どっか行きたくならん?」

そんな、そんなさ、ついうんってうなづきそうになるような笑顔で見ないでほしい・・・!いや、その甘めな笑顔好きだけど!
でもそこには(あたしにとっての)危険が微量でも含まれてる気がするから、むやみにはうなづけないんです・・・!
もうこれは、本能にもとづく直感と傾向推察と慣れだ。

「よし、決めた。外で飯だ。今日は自主休校〜よって、行くぞ」

「え!ほんとに大丈夫なの!?」

「余裕で」

車のキーをくるくる指で回しながら、マイペースを決めこんですたすたと駐車場へ向かう加宮さん。
や、正直言って一緒にいられるのは嬉しいけど・・・んなこと本人の前で言わないけど・・・でもほんとに大丈夫なのか?
人並みにちゃんと勉強してるってこと、知ってるけどね。
ま、いっか。加宮さんが大丈夫って言うなら大丈夫なんだろう。

「何食べるー?」

「1・俺んちで佳織料理、2・以下略、3・以下略、4・以下り・・・」

「あたしに選択の余地ないじゃん!!」

「そーゆーことだな」

「むー・・・・・・5・加宮さんちで男料理!」

それを聞いた加宮さんが、追いついたあたしを振り返って意味ありげに、にやり。

「それはそれは・・・高くつくぜ?」

あたしの運命が決まった瞬間だった・・・。