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an ordinary day
あたしの隣で、紀由(きゆ)が気まずそーーーに言った。 「おいっ、ちえり!」 「なに」 こっち向いてくる紀由に見向きもしないで、あたしは淡々と答えて、淡々と足を進める。 だって聞いてよ!こうやって、デートの最中に呼び出しくらってさっさと行ってしまうのって、ほんっと毎度だし!仕切りなおししてる傍から緊急連絡入るわけだしね!なんでそんな頻繁に呼び出されるのよ!
でも、ほんとのほんとに怒ってはいるけど、それと同時にちゃんとわかってはいる。 ・・・わかってる。 頭ではわかっていても、それでもやっぱり感情まではそうはいかないよ。
あたしがいろいろと沈みこんでると、紀由は少し黙ってから済まなそうに口を開いた。 「ごめんちえり・・・ほんとにほんとに悪い。でも俺行かないと・・・」 うん。わかってるよ。そうだよね。
・・・別に、今バイバイしたからって、あたしも紀由も死ぬわけじゃないし(極端だけど)。 ほら、早く「いってらっしゃい」って言わないと。
「・・・何かおごらせるから」 あ〜〜〜・・・。やっぱあたしさいあく。
でも、そう言ったあたしを見て紀由はちょっとほっとした顔になった。 「わかった。絶対覚えとく」 「絶対だからね!かなり高いやつね!」 「高いやつはムリな」 「けち!!」 「はいはい。でも絶対何かおごるから。何食べたいか考えとけ?」 「・・・・・・。」 ・・・・・・いつになるんだよ、それ・・・。 でも。 ムカつくから絶対言ってやんないけど。 「ほら!さっさと行ってくれば?」 出そうになってた苦笑を無理やり押し込めて、あたしは仏頂面で言ってやる。 「あぁ。じゃ行ってくる。帰ってきたら電話するから」 「わかったわかった。ほら、早く行って!」 紀由はもっかいあたしの頭を撫でてから、人ごみの向こうへ走ってった。 「行っちゃったー」 それにしても。 「ほんっと・・・めんどくさいやつ好きになっちゃったよなー・・・」 人ごみにまぎれて見えなくなった後姿を思いながら、あたしはひとりごちる。 「さて。買い物でもして帰ろうかなー」 あたしは、メインストリートに向かって歩き出した。
これがあたしの、ごくごく普通の一日。
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