candle

 

 


「なんだ、コレ」

「アロマキャンドル。なんか面白そーだから買ってみた♪」

「だからっておれの部屋持って来るかね・・・」

えー。いいじゃん、ねぇ?

あたしの手の中には、5センチくらいで円柱の形をした赤いキャンドル。
アロマっていってもこれはストロベリーの香りだし、大体ろうそくの炎はα波だよ!
いいじゃんいいじゃん。ステキじゃん!
紀由んとこ来る前に見っけたんだもん。絶対試す!

「いーじゃん。つけてもいいでしょ?」

「おー」

「やた。よし、さっそくつーけよっ」

どうせ止めてもやるって知ってるからね、紀由は。
苦労かけます、とはもう思わない。
これがあたしたちにとってもう普通だしね。
・・・これを「普通」にしちゃったのはあたしだから、やっぱり「苦労かけます」なのか。

 

ライターなんてないから、ガスコンロで火をつけて部屋まで持ってった。
キャンドル用のプレートに載せてテーブルに置いて、電気を消して。
なんとなーく静かになって、紀由とあたしはしばらくキャンドルの炎を見つめてた。

「わぁ。なんかいちごの匂いしてきた」

「んー。でもちょっと、甘ったるくないか?」

「そう?いい匂いじゃん」

ちっぽけな灯りに目を向けたまま、心なしか落ち着いた声であたしたちは会話してて。
キャンドルのやわらかい灯りのせいか、空気が穏やかに感じる。
時間の流れがゆったりで、すごく安らぐ感じ。

「なんだか・・・あったかい感じ」

「だな」

なんとなく口数も少ないけど、気持ちはなんだかぽかぽかしてきてて、
急にすっごく甘えたくなってきた。

あたしはこてっと紀由の肩に寄りかかってみる。
・・・やっぱり、どこか触れあってると、それだけで安心する。
すごく、あったかい。

 

心地いい重みを、頭にふいに感じた。紀由が頭に寄りかかってきたみたい。
そうするとしあわせの波がぐーって押し寄せてきて、少し切なくなるくらい。
こんなに嬉しくってしあわせでいいのかなぁとかって。
そんなこと思ってて。

そしたら、今、きゅうって右手を握られた。
なんだか、大丈夫だよ、隣にいるよって言われてるみたい。
あたしがこんなこと考えてたから、そういう風に解釈してるだけだと思うけどね。

手を握ってくれてるだけなのに、それがキスよりも嬉しいって変かなぁ。

 

ありがとうって伝えたくて、大好きだよって伝えたくて、あたしはその手を握り返した。

そうして目を閉じる。
このしあわせがこれからもずっとずっと続くよう、祈るように。